| 宮間 尚's profileそしてあの場所へBlogLists | Help |
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September 09 6. 愛児 (終焉) 地球の歓喜の声が響いた。
『ああ、愛児達の愛が私を包み込む。懐かしい愛児達よ…。何と暖かい感情だ。……遥か昔、私は愛児達の愛に包まれていた、この愛はいつまでも、永遠に続く物だと信じて疑わなかった。だから、…あの日、愛児が滅んだとき、生き延びた者がいるのか捜しもせず、ただ悲しみに暮れ心を閉ざし人間を憎んでいた。愛児達よ、お前達の愛してくれた地球が間違っておったわ!術にかかってしまうとは…いいや、これは私の弱い心があの者達の言葉に乗せられてしまったのだ。これは、私の人間に対する絶望感が生み出してしまった結末なのだ。愛児達よ、…主らの愛、確かに受け取った。広い心で私は私の寿命を全うしよう。…末裔の王よ、主の言う通り、私は人間達を、…愛している。愛児達を殺したときも、セイラ達の村人を殺したときも、人間達を憎みながらもどこかで愛していた。そして今も、愛している』 そう呟いた地球の目から、大粒の涙が落ちた。それは、蒼い涙。それは次第に地球の身体を支配し、美しい蒼が地球を包んでいた。 俺は黙って見つめ、ただ微笑んでいた。 『末裔の王よ、主の名は?』 少し気取って答えた。 「ガイア・コスティルです」 『ガイア?私と同じ名?では、…主はナユタ・コスティルの子?』 「父を?」 既に平常心を取り戻した地球。全世界の噴火は止まり、綺麗な蒼に戻っていた。 『主同様、民達を愛しておった。一族を守ろうと少し間違ったことをしてしまったが、責めたりはせん。あの時代では、ああするより他なかったのだから。心優しく、良い王だった。…ガイア、主は父王を越えたか?』 「いいえ、父は今でも越えられない壁です。父のように冷静に物事を見極める力はまだまだ足りません」 そこまで言った途端、急に胸が苦しくなり咳き込んだ。 ボタボタと、大量の血が溢れてきた。しかしその血は衣服を汚す前に灰となり消えていった。身体中に激痛が走り、もう力を入れる気力さえも残っていなかった。 横倒れになり、それでも地球を見て微笑みいった。 「…地球、貴方はもう大丈夫ですね?私達一族が滅びても、自分のせいだと嘆いたりしませんね?地球の為に、一族が滅んでくれたのだと、思ってくれますね?」 『…安らかに、眠るがいい愛児よ。お前達の愛はしかと受け取った。このようなこと、二度とせぬ』 「一つだけ、私の願いを聞いて頂けませんか?」 『何だ?』 「…もう二度と、我ら一族のように、不思議な力を持つ者をこの世に送らないでください。滅んでゆくのは、我ら一族とセイラ達だけで充分です。もし、また貴方の身に危険が及ぶようなことがあれば、力を持つものを生むのではなく、私を復活させてください。私は貴方のためなら、何度でも蘇り、滅び、貴方のために、歌を歌いましょう」 『…約束しよう』 ガイアは微笑み、その場から消えた。 地球は大きな涙を流した。その涙は海が受け止め海水にした。 『さらばだ…愛児…』 元通りに直り、光の球に守られていた孤児院で、一言も交わさずにテレビに釘付けだったセントポーリア孤児院にいた皆が一斉に振り向き目を見張った。 テーブルの上から何か堅い物が落ちたような音がしたため、緊張の糸を切った物の正体を見るように皆が振り向いたのだ。 コロコロと音をたてながら転がっていたのは二つのイヤーカフだった。ガイアから渡され院長の掌にあった筈のそれが一瞬のうちに消え再びここにあるのだから誰もが驚くのは当然のことだろう。 薫が震える声で言った。 「がぁ兄ちゃん、死んじゃったの?」 院長は少し考え優しく言った。 「ガイアは、沙羅の所へ逝ったのだ。私達を、地球を救ってな…」 そう言い院長はイヤーカフを拾い、ガイアが持ってきたフォトスタンドの前に置いた。 『もう、戻ってこないのか?ガイア…』 院長は心の中で思い、孤児達に気付かれない様に深い溜め息をついた。 TrackbacksThe trackback URL for this entry is: http://nekobakano-mo-so.spaces.live.com/blog/cns!6C87111BA2133EFF!294.trak Weblogs that reference this entry
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